「カスタマーサクセスって最近よく聞くけど、実際どうなの?」
「ネットで“やめとけ”って見たけど、本当に大丈夫?」
そんな疑問や不安を感じていませんか?
新しい職種であるカスタマーサクセスは、注目を集める一方で、その実態がわかりにくい仕事でもあります。
この記事では、カスタマーサクセスが「やめとけ」と言われる理由とその背景、実際に向いている人の特徴、そして仕事の魅力について、わかりやすく丁寧に解説します。
これから転職やキャリアチェンジを考えている方にとって、きっと参考になる内容です。
ぜひ最後まで読んで、自分に合った働き方を見つけてみてください。
カスタマーサクセスの仕事とは?
カスタマーサクセスの基本的な役割
カスタマーサクセス(Customer Success)は、お客様が商品やサービスを上手に使って成果を出せるようにサポートする仕事です。
たとえば、ソフトウェアを導入した企業に使い方を教えたり、より便利な使い方を提案したりするなど、利用を通じて「成果」を得られるように支援します。
サポートセンターのように「問題が起きたら対応する」のではなく「問題が起きないようにする」「もっと良く使ってもらうために動く」という点が大きな違いです。
企業の中でも、特にSaaSなど定期契約型ビジネスでは、お客様に長く使い続けてもらうことが重要なため、欠かせない役割となっています。
他の職種との違い
カスタマーサクセスとよく混同されるのが「カスタマーサポート」「営業」「コンサルタント」です。
しかし、役割はそれぞれ異なります。
- カスタマーサポート:主に問い合わせ対応が中心で、トラブルが起きたときに助ける仕事。
- 営業:新しいお客様を増やすために契約をとる仕事。
- コンサルタント:お客様の業務や課題に合わせた改善提案を行う仕事。
一方カスタマーサクセスは「契約後のお客様」に寄り添い、成果が出るまで支援し続けます。
そのため、上記の仕事の要素をすべて持ち合わせているとも言える、ハイブリッドな職種です。
具体的な業務内容
カスタマーサクセスの仕事は多岐にわたります。
主な内容は次のとおりです。
- 初期導入のサポート(オンボーディング)
- 利用状況の確認と分析
- 定期的なミーティングやアドバイス
- 問題が起きないようにする予防的対応
- 利用促進やアップグレードの提案
お客様一人ひとりの状況に合わせて対応するため「マニュアル通りに進める」仕事ではなく「その都度、最適な提案」を考える必要があります。
必要とされるスキルセット
カスタマーサクセスには、次のようなスキルが求められます。
- コミュニケーション力:相手の話を聞き、わかりやすく説明する力
- ITリテラシー:扱う製品やサービスを理解し、操作できる基礎力
- ロジカルシンキング:問題の原因を分析し、解決策を考える力
- データ分析:利用状況などの数値を読み解き、提案に活かす力
- 社内調整力:エンジニアや営業などと連携して対応する力
特に最近では、分析ツールやCRM(顧客管理システム)を使いこなす力も求められるようになってきています。
成功するためのポイント
カスタマーサクセスで活躍するためには「お客様目線で物事を考える」ことがとても大切です。
サービスを売るのではなく「どうすればこのお客様が成功できるか?」という視点で支援を行うことで、信頼を得ることができます。
また、定期的なコミュニケーションを怠らず、小さな疑問や悩みを先回りして解消する「予防力」も重要です。
顧客にとって頼れる存在になれれば、契約の継続だけでなく、追加提案などのチャンスにもつながります。
「やめとけ」と言われる理由
求められるスキルが多岐にわたる
カスタマーサクセスは一見するとやさしそうに見えるかもしれませんが、実は幅広いスキルが求められる仕事です。
話す力、聞く力、分析する力、社内調整する力…と、ひとつの職種とは思えないほど多くのスキルが必要です。
特に中小企業やスタートアップ企業では、明確な業務分担がされていないこともあり「なんでも屋」的な存在として扱われることもあります。これが「大変そう」「やめとけ」と言われる一因です。
ただし企業によって業務範囲は異なり、教育体制がしっかりしている会社であれば、段階的にスキルを身につけられる環境もあります。
責任の重さとプレッシャー
顧客の成功=カスタマーサクセスの責任、という関係のため、プレッシャーは決して軽くありません。
「この顧客が契約更新しなかったのは、自分の支援が足りなかったのでは…」と自分を責めてしまうこともあります。
ただ、全ての結果が自分の責任というわけではなく、顧客の社内事情や予算、経営方針など「自分の手ではどうにもならない要因」もあります。
そのため、必要以上に責任を感じすぎないよう、メンタルのバランスも大切です。
業務範囲・業務量の多さ
カスタマーサクセスは、多くの顧客と並行して関わることが多いため、業務量が膨大になりがちです。
レポート作成、社内調整、定期ミーティングなど、毎日がタスクの山。優先順位を自分で決めて動く力が求められます。
忙しいからといって顧客対応をおろそかにすれば、信頼を失ってしまうため、スケジュール管理と調整力が重要です。
ただし、大企業や組織体制が整っている企業では、分業されていたり支援ツールが充実していたりするため、企業選びも重要になります。
社内での評価の難しさ
カスタマーサクセスの成果は「契約が継続した」や「満足度が上がった」といった間接的な形で現れるため、営業のように数字で評価されにくい場合があります。
とくに評価制度が未整備の企業では、「がんばってるけど何を評価すればいいかわからない」となりがちです。
ただ、最近ではカスタマーサクセスの重要性が認識されつつあり、継続率やNPS(顧客満足度)などの指標で評価する企業も増えてきています。
評価されにくい職場もありますが、制度次第で改善の余地も十分あります。
クレーム対応は企業や業界による
「クレーム対応が多いからやめとけ」という声もありますが、これは業界やサービス内容によって異なります。
たとえば、トラブルの多いサービスや複雑なシステムを扱う会社では、クレームや問い合わせが増える傾向があります。
一方で、導入が簡単で安定性の高いサービスであれば、そもそもトラブルが少なく、クレーム対応はそれほど多くないというケースもあります。
「カスタマーサクセス=クレーム対応ばかり」と一括りにするのは誤解を招く恐れがあります。
カスタマーサクセスの魅力とメリット
未経験からでも目指しやすい
カスタマーサクセスは、未経験からでもチャレンジしやすい職種のひとつです。
特に、接客業や営業など「人と接する仕事」をしていた経験がある人には、すぐに活かせるスキルが多くあります。
実際に、他業種からの転職者が多く活躍している職場もたくさんあります。
企業によっては、しっかりとしたOJT制度やマニュアルが整っており、業務の進め方を丁寧に教えてもらえるため、安心して始めることができます。
また、ITスキルや製品知識は入社後に習得すればよいというスタンスの企業もあり「これから学びたい」という意欲が重視されます。
このように、ポテンシャル重視で採用する企業も多いため、キャリアチェンジを考えている人にはチャンスが広がっている職種です。
今後の需要と将来性
SaaSやサブスクリプション型ビジネスが拡大している中で、顧客の継続率や満足度が企業の成長を左右する時代になっています。
これにより、カスタマーサクセスの需要も急速に高まっています。
また、海外ではすでに一般的な職種となっており、日本でもこの数年で導入する企業が増加中です。
業界に関係なく「顧客との関係性を重視する」企業は、今後ますますカスタマーサクセスを必要とするでしょう。
そのため「安定したキャリアを築きたい」「将来性のある職種に就きたい」と考える人にとって、今から経験を積んでおくことは大きなメリットになります。
幅広いキャリアパス
カスタマーサクセスで身につくスキルは、多くの職種に応用できます。
たとえば、顧客と接する経験からマーケティング職や営業企画へのキャリアチェンジも可能です。
また、社内調整や改善提案などを通じてプロダクトマネージャーや事業開発への道を目指す人もいます。
さらに、実績を積んでいけば、チームリーダーやマネージャーとしてマネジメント側に進むこともできます。
企業によっては、キャリアパスが明確に整備されているところもあり、長期的に働きやすい環境も整いつつあります。
「この先どうなれるのか」が見えやすい職種でもあるため、将来を見据えたキャリア設計がしやすいのが魅力です。
顧客との深い関係性
カスタマーサクセスは、お客様と長く付き合いながら信頼関係を築いていく仕事です。
数ヶ月、時には何年も同じ顧客を担当し、企業の変化や成長に寄り添っていくことができます。
その中で、「あなたが担当でよかった」「おかげで成果が出ました」という言葉をもらえると、大きなやりがいを感じることができます。
顧客からの信頼を実感できる瞬間は、他の職種ではなかなか得られない貴重な体験です。
また、こうした関係を通して得た知見は、サービス改善や新商品の提案などにも活かすことができ、社内からも一目置かれる存在になることができます。
自己成長の機会
カスタマーサクセスでは、「学び」が止まることはありません。
日々、異なる顧客の課題に向き合いながら、どう対応するのがベストかを考え続ける必要があります。
その中で自然と問題解決力、提案力、コミュニケーション力が鍛えられていきます。
また、ITツールや分析システムの活用スキルも向上し「数字に強い」「話がうまい」「調整ができる」など、他職種にも通じるスキルが総合的に身につきます。
結果として、自信を持って他のキャリアにも進めるようになり「どこでも通用する人材」へと成長することができるのです。
カスタマーサクセスに向いている人の特徴
コミュニケーション能力が高い
カスタマーサクセスで最も求められるのが、相手とのやりとりをスムーズに進められるコミュニケーション力です。
ここでいうコミュニケーションとは「話がうまい」だけではありません。
「相手の状況をしっかり聞き取って理解し、自分の考えをわかりやすく伝える」という両方の力が必要です。
顧客の話を聞く中で、表面の言葉だけでなく「本当に困っていること」を見抜けるかがカギになります。
また、社内の他部署と連携することも多いため、相手に合わせた説明の仕方や伝え方も求められます。
人と話すのが好きな人はもちろん「相手の立場で考えることができる人」には、とても向いている仕事です。
問題解決に積極的
カスタマーサクセスの仕事は、ただ顧客の要望に応えるだけではありません。
むしろ、「まだ顧客自身も気づいていない課題」に気づき、先回りして解決策を提示する力が重要になります。
たとえば、「サービスの利用が減ってきた顧客」に対して「こういう使い方ならもっと成果が出ますよ」と提案できる人は、高く評価されます。
このように、自ら考え、動く力が問われるため、決まった作業をこなすよりも「考えるのが好き」「解決策を見つけるのが得意」という人にピッタリです。
また、分からないことがあっても「まず調べてみよう」「人に聞いてみよう」と自分から動ける人は、現場で頼られる存在になります。
柔軟な対応力
日々の業務では「思っていた通りにいかないこと」のほうが多いかもしれません。
急にミーティングが入ったり、予想外のトラブルが発生したり、顧客のスケジュールが変更されたり…。
そんなときにも焦らず、状況に応じて動ける柔軟性がある人は、非常に向いています。
「自分の中に正解がないと不安」「マニュアルがないと動けない」というタイプよりも「とりあえずやってみよう」「考えながら調整すればいい」と柔らかく対応できる人のほうが、カスタマーサクセスでは強みになります。
状況がどんどん変わることにワクワクできる人には、ぴったりの仕事です。
ストレス耐性がある
カスタマーサクセスは人との関わりが深い仕事です。
だからこそ、ときには想定外のフィードバックや厳しい指摘を受けることもあります。
「言われたことにショックを受けやすい」「落ち込みやすい」という人にとっては、少し大変かもしれません。
ただ、そうした場面でも「相手はサービスに期待してくれているからこそ、指摘してくれている」と前向きに受け止められる人は、着実に成長できます。
怒られても冷静に対応し「この課題はどう改善できるだろう」と切り替えられる柔軟なメンタルがある人には、非常に向いています。
少しずつ慣れていくことで、強い心と冷静な判断力が自然と身につきます。
顧客の成功を喜べる人
カスタマーサクセスの最大のやりがいは「顧客の成功に自分が貢献できた」と感じられることです。
自分のアドバイスで顧客が成果を出し、「ありがとう」と言ってもらえたときの喜びは、何にも代えがたいものがあります。
そのため、「誰かの役に立ちたい」「相手の成長を見るのが嬉しい」と感じられる人にとっては、本当にやりがいのある仕事です。
ただ単に「業務をこなす」のではなく「この人のために何ができるだろう?」と自然に考えられる人には、ピッタリの職種と言えます。
まとめ:カスタマーサクセスはやめとけ?それとも挑戦すべき?
カスタマーサクセスという職種には、「やめとけ」という声もあれば、「やってよかった」という声もあります。
その理由は、仕事の特性上、合う・合わないがはっきり分かれるからです。
たしかに、幅広いスキルが求められたり、業務量が多かったりと、簡単な仕事ではありません。
また、クレーム対応や評価制度に課題がある企業も一部には存在します。
しかし、その一方で「顧客に感謝される喜び」や「自分の提案で成果が出たときの達成感」、さらには「成長できる環境」など、ほかの職種ではなかなか得られないやりがいも多くあります。
特に、以下のような人にとっては大きなチャンスとなる職種です。
- 人との関わりが好きで、相手の話を丁寧に聞ける人
- 問題に対して前向きに取り組める人
- 柔軟に物事に対応できる人
- 顧客の喜びを自分の喜びとして感じられる人
こうした特性を持っているなら、たとえ今は未経験でも、カスタマーサクセスは「やめとけ」どころか、未来のキャリアの柱になる可能性があります。
大切なのは「他人の意見」ではなく、「自分にとって合うかどうか」を見極めることです。
この記事を通して、あなたの選択に少しでもヒントを提供できたなら幸いです。